Noble Audio Kaiser Encore Cのレビュー

3月初旬に届いたEncore Cの感想が、大分固まってきたためレビューしたいと思います。

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Kaiser Encoreとは

当時では異例だった10ドライバーを積んだKaiser10の後継機となっております。

EncoreではNobleがKnowlesに特注した「Noble Driver」が10基積まれているのが特徴...なのですが、このNoble Driverは少し前に販売されたKatanaが最初でして、いまいち人気がないイヤホンとなっております。

後は単純にKaiser10の完成度が凄まじく、所有者も当時は多かったと思われるため、わざわざEncoreを買う必要がないと思うユーザーが多かったのかと思われます。

 

何故買ったのか

そんな不人気なイヤホンを(私は好きですが)なぜ買ったかというと、中古でEncore Cが売られているのを見かけたからです。

Nobleは公式でリモールドを行っているので、「それを代理店経由で依頼すれば格安でオーダーできるぞ...?」と思い付いたからです。

(ついでに持っているユニバーサルのEncoreを手放せば資金になるな...という悪魔のささやきも関係しています)

結果、通常オーダー時よりも

中古のEncore購入(65k)+オーダー料金

を合わせても10万円ほど安く済みました。その時で値段は変動するので難しいところではありますが、おおよそこのくらいかと思われます。

 

私のNoble暦

私はNobleのイヤホンが好きでして、これまで

・Kaiser10 ユニバーサル(Drop版)

・Katana ユニバーサル

・Encore ユニバーサル

KHAN ユニバーサル

・Katana C

・Encore C

と所有していまして、現在は赤字の3種を所有しています。

よくユニバーサルイヤホンとカスタムでは音が全然違うという事を聴きますが、Nobleは正しくそれに当てはまるかと思います。

KatanaとEncoreはユニバーサルとカスタム両方を所有していましたので、それも併せてレビューしていきたいと思います。

 

サウンド

まず聴いて、ユニバーサルのEncoreとはかなり音が違う事に驚きました。また同時に納得もしました。

Katana Cの完成品が来た時もだいぶ音が違うな...と悶々としたのですが、同じメーカーを2回オーダーして納得しました。

ユニバーサルだとアルミ筐体の響きで音が冷たく音圧も高く感じます。

 

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Katanaはユニバーサルの場合ですと、名前の通りのキレ良く・清涼感があるといった感じでしたが、カスタムになると清涼感はなくなり音色は暗くなります。

(解像感が落ちるという意味ではないです)

届いた当初はそこに違和感を感じてリケーブルを色々と試してみましたが、変化がないことからこの冷たさは筐体の素材由来なのかな?と考えたのですが、ユニバーサルのKatanaを所有していたのは1年ほど前だったのでいまいち自信を持てていませんでした。

 

Encoreユニバーサルの場合ですと、少し音圧が効きすぎて、Kaiser10特有のゆったりとした感じがあまりなく、少し緊張感を持ったような音でした。

公式によると中域をKaiser10から持ち上げたようでしたが、アルミ筐体とは相性が悪く過剰に響きすぎて少々空回っているという印象です。

クラシック・ジャズを聴くには良いけどポップスを聴くには音圧的に厳しいな...と思いながら使用していました。

ユニバーサルのKaiser10の場合ですと、同じアルミ筐体でも冷たさもなくゆったりとした鳴り方を維持しているので、本当に絶妙なチューニングだったんだなぁと思い知らされます。

 

Encoreはカスタムになると正真正銘Kaiser10の後継機と呼べる鳴り方に変わりました。

筐体素材由来の冷たさ・音圧はなくなり、Kaiser10らしくゆったりとした鳴り方です。

変に強調された帯域はなく、またどの帯域も過不足はありません。

Kaiser10で少しネックと言われていた中域は持ち上がり、ボーカルは一歩前へ、前方への抜けの良い音場です。

 

帯域別にみていきたい所ですが、Encoreは音源の質で鳴り方が左右されます。

音源が持っている情報を、ドライな音色で最大限引っ張てくれるイヤホンというのでしょうか。

 

録音がいまいちなポップスを聴いてみると、パサパサとした質感です。この音源からは引っ張てくる情報が対してないとでもいいたげな鳴り方です。

音色を盛らず・ゆったりとした鳴り方なので聴きあたりは良いのですが、それ以上も以下もないといった感覚でしょうか。

 

対してクラシック・ジャズ・良質なポップスを聴いてみると、生々しさが尋常ではなく、盛らずに音源の質を引っ張てくる特徴が効いています。

 

通じて言うと、どんな音源でも解像感は高いです。

ただしそれは音源の質で満足感は変わるという事でしょか。

 

例えば私が持っている(いた)イヤホンですと、Andromedaは高域がキラキラ、Layla2なら分厚いベースラインのカッコよさ、Maverick2なら唯一無二のドラムの乾いた質感...などと音色の盛った部分があり、基本どんな音源でもこの特徴が活きてくるのですが、Encoreにはそれがないです。

この価格帯で際立った特徴がないのは珍しいですが、良い音源を聴いたときのポテンシャルの高さは尋常ではないです。

例えですと、BA型で音色を盛らないイヤホンですとUERRがありますが、そこから情報量・密度が欲しいといったユーザーならならハマるかもしれません。

 

またリケーブルで相当Nobleのイヤホンは化けます。イヤホンのポテンシャルが高い分、良いケーブルの付けたときの跳ね上がり具合は、他のイヤホンをリケーブルした時よりも変化具合は大きいです。

(実際にイヤホンを購入して、リケーブルもしてみないとわからない部分なので難しい所ですが...)

 

最後に

大分色々と書きましたが、Encoreが人気がないのでブログを書いた次第です。

Kaiser10ユーザーでユニバーサルのEncoreを聴いて「なにか違うなぁ」と思った人ほど、このEncore Cは好みである可能性は高いかと思います。

KHAN・SULTAN・Falconシリーズが好調な中、このEncoreはいつディスコンになるか分からないので、興味を持っていただけたら嬉しいです。