今回はMOONDROPのKATOをレビューしていきたいと思います。
萌える特徴的な外箱が印象的で、音の良さからもファンが多いメーカーです。
大分前のポタ研でLiebesleidを試聴してから音の良さに感動して、後から販売した後継機なポジションのChaconneを購入してからは怒涛の新製品ラッシュに手を出せなくとも有線イヤホンはできる限りは試聴しているようにしています。
有線・無線・DD一基・多ドラ・ハイブリッド・静電ドライバー搭載と色々なイヤホンを販売していますが明らかに外れな音はなく、相当技術が高いメーカーだと思います。これだけ新製品の販売サイクルが早いのに...という条件を合わせればかなり驚異的です。
今回購入したKATOはDD1基のイヤホンです。BA機とハイブリッド機は今持っているもので十分なので、DD1基枠で唯一使用中のATLASと違った傾向で何か欲しいなぁと試聴していたらこのイヤホンにたどり着きました。
鏡面仕上げが綺麗なデザインです。シェル側が凸凹とポリゴン状のようになっていて、ただ平坦なだけではない高級感がありますね。
鏡面仕上げやステンレス製ですと傷がついていきますが、塗装剥げよりは目立たなく個人的にはそこまで気にしません。(もちろん傷がつかないに越したことはないですが)
購入したのは2022年2月なので初回特典のバランスケーブルはなく、付属3.5mmケーブルのみです。
試聴時点ですとこのケーブルは少し太めで取り回しに難があるかと想像していましたが、柔らかい被膜でタッチノイズはなく、ケーブルの絡まりも細すぎないお陰で起きません。
音質的にも問題には感じなかったので何か思いつきがない限りはこのケーブルで運用していくつもりです。
音質
環境はPGTとQutest(DAC)→430HAD(HPA)になります。
PGTですと音量値は55~60/100、据え置き機でもノイズは感じず、音質的なミスマッチ感はありませんでした。
またイヤホンノズルは標準タイプで、イヤーピースは清泉です。
音質傾向は澄んでいながらも柔らかさがある音のイヤホンかと思います。
パッと聴いた感じですと、中域が近いながらもハーマンターゲットを参考にしているだけにキレイにまとまったイヤホンだなぁと思うかもしれませんが、このイヤホンは全ての帯域で徹底的に歪まず不快に感じる暴れた音が一切でません。
そうなりますとモコモコとした低解像度で、ドライバーに無理な動きをさせない安全運転なナローサウンドを想像しますが、KATOは解像感は高くワイドなサウンドです。
この値段のドライバー1基でこの音が鳴らせるのはかなり凄みがあると思います。
これだけですと、澄んだ音のイヤホンですが、KATOは柔らかい音でもあります。
音の解像感は高いので「澄んだ」と感じますが輪郭は全域「柔らかい」です。
低域
低域は必要十分な量感ですが、リズム帯のみを淡々と鳴らすだけのカラッとした鳴りではないです。緩やかな質感で極低域の時はしっかりと沈みます。ただし量感は並みです。必要な時にしっかりと鳴らしてくれるイメージですね。
アコースティックな音は圧で響かせるというよりも非常に滑らかにサラッと鳴らします。その傾向なのでギターはもう少しガリガリと描いて・ドラムに粒立ちがもう少し欲しいと思うときはありますが、どちらの質感をとるのか?といった問題だと思うので不満には感じません。
中域
中域はKATOで一番おいしい帯域かと思います。
ボーカルは他帯域と比べて一番近く、滑らかで柔らかく立体感があります。柔らかく近いボーカルなのですが、解像感高く滑らかな質感なので、活舌が不明瞭になるような鳴りではないです。非常にスムーズでリアリティがあります。
手持ちのハイエンド機と比べても同格かそれ以上と思えて、ここがかなりハイレベルでボーカルをメインで聴きたい方にはイチオシできます。
立体感はボアのヌケ感がそこそこ効いていると思います。また音場は奥行を感じます。したがって遮音性・音漏れは中の下ほどかと思います。
(電車の車内アナウンスが聞こえること・耳から外した状態でイヤーピースを手で塞いで再生してテスト)
手持ちのイヤホンでもMaverick2カスタムやKHAN CなどはDDの気圧ヌケの為だけとは思えないボアによるボーカル域の立体感は感じるので、そのためと思えば万々歳でここを歓迎できます。
複数の音が鳴る時は音像は点々とした鳴り方ではなくDDらしく雰囲気的ですが、しっかりと分離して聞き取れます。
高域
高域は少し煌びやかでシルキーな色がのった鳴り方で刺さるような音ではないです。また伸びはかなり良いので天井を感じることなく開放的です。
シャンシャン・キンキンとすることなく美音な鳴りで、伸びは良いですが量感は中くらいかと思います。うまくコントロールが効いていますが伸びが良いので絶妙なチューニングだと感じました。
ハイハットの音や無機質な電子音は色が乗った分、聴きごたえがあります。余韻にも多少この色が残るので連続した場合にはごくわずかですが飽和気味になるかもしれませんが、破綻するほどではないのでマイナスには思えずKATOのキャラクターと捉えました。
まとめ
メーカー説明で静電型のような歪みの少なさをウリにしていましたがそれもうなずけるサウンドです。
強烈な派手さこそないものも1DDでここまで完成度の高い音が出せるのかとMOONDROPの技術の高さに改めて感動しました。
値段関係なく、外使いできるデザインで好みな音質の1DDイヤホンを探したらKATOになった...と言えばこのイヤホンの凄さは伝わるかもしれません
(あくまで試聴程度で僕の好みの中でですが...)
値段が安いだけにこのレビューでピン!とくるものがある方は非常にオススメです。
(余談ですがこのイヤホンを買うときにレジに商品タグを持っていき、店員さんと現物の確認をしたのですが、その時に「こちら『カトウ』でよろしいですか?」と言っていたのですがそれでよかったのでしょうか?
メーカーの方で「『カトウ』じゃなくて『ケイトゥー』だよ!」とのtweetを見た記憶があったのですが、該当のtweetを見つけなおせなかったので、知っている方がいたら是非教えていただきたいです。
なにせ「カトウ」だったら某作品のヒロインに.............)