KHAN Cの感想 ~オーダーから着弾インプレまで~

Wizard birthdayセールでオーダーしていたKHAN Cが8/19に到着したので、感想を残しておきます。

Image

元々、ユニバーサル版のKHANを愛用していたので、年で1番大きいこのセールでカスタムに買い替えようと思ったのがオーダー理由ですね

(あとはKATANA CとENCORE Cを所持しているので、ここまで来たらKHANもカスタムにしてみたいという欲望も大分大きかったです)

Image

全部ユニバーサルイヤホンを買った後にカスタムへ買い替えました

まさか3種全て揃えられるとは思っていなかったです

オーダーするにあたって

さてKHAN Cをオーダーするぞ!となるとまずは試聴が必要です。

常時KHAN Cを試聴できる場所はeイヤとフジヤとなります。

ただここで問題がありまして、この2店舗でなんと試聴機の音は通常オーダーする場合の音とは別物となります

何故かといいますと、試聴機では内部配線が代理店であるWAGNUSのケーブルを採用しているからです。そして内部配線の種類はeイヤホンとフジヤでは別の種類となるので大分困惑してきます。

特に店頭のPOPなどにも書いていないので、取りあえず試聴してみようと思って聴いた方は、ユニバーサル版との音の違いにだいぶビックリするかと思います。

 

eイヤの方は低域が空間の多くを占めて、KHANらしい伸びやかな高域はありません。本来低域は後ろで鳴っているはずが最前線で量感たっぷりに鳴っています。

ユニバーサルのKHANが嫌いな方なら聴く価値はありますが、元の音をもとめるのならまず候補外だと思います。

TwitterでもこのKHAN を聴いてガッカリされている方は結構見かけた印象です。

(実際僕もそうでした。)

 

対してフジヤの方は好みでした。

そこそこ低域増といった感じで多少帯域の変化はありますが、KHANらしさは完全に消えていません。

 

この配線ならオーダーしていいかも?と思い、WAGNUSに聞いてみた所、なんと内部配線オプションは昨年末に終了していました。

つまりKHAN Cのオーダーを検討している場合は、ユニバーサルのKHANを試聴することが正解です

そこからカスタム化した時の音の変化を想像することが必要となってきます。

 

余談ですが、KATANA CやENCORE Cをオーダーしようと思ったときに、アルミ筐体であるユニバーサル版で試聴することは止めたほうがよいです。鳴り方がかなり違うので、しっかりと完成品と同じアクリル素材であるカスタムの試聴機で聴いたほうが間違いないです。

↓以前書いたENCORE Cのレビューにその辺りは書いてあるので、読んでいただければなんとなくわかると思います。

https://omati.hatenadiary.com/entry/2021/04/29/Noble_Audio_Kaiser_Encore_C_%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC

 

さてどうしよう

オーダーしようと思っていた内部配線オプションはまさかの終了、さてどうしよう...と思っていたら、WAGNUS側から、「もしかしたらNobleが保有しているシルバーワイヤーが使えるかも?」との反応が貰えました。

Nobleのシルバーワイヤー...そういえば香港で限定販売していたSULTANがそんなものを採用していたな...と思っていたらそれであっているようです。

 

結果、使えるよーとのことで、お値段は5,500円。正直かなり安い。

・KHANでこのワイヤーを使っている前例を知らないので音が全く読めない。

・元から高域が良く出るKHANに銀線はかなり高域が派手になってしまうのでは

・内部配線が違うと音が激変することは試聴機で確認済み、好みな方向に転ぶかは未知数

と色々不安でしたが、5,500円という安い値段と、誰も聴いたことがない音を聴けるのなら...という欲に負けて、内部配線をシルバーワイヤーにしてオーダーをしました。

 

セール開始前にこのやりとりをして、インプレッションはセール開始前に送ってもOKとのことなので先に発送。セール開始後に支払いを完了してインプレッションが日本から発送。

わざわざセール開始前にオーダーする人がいない分、バックオーダーは溜まっていないので、早めにオーダー完了すればもしかしたら早く完成するかも?と予想していましたが、2か月かからないで手元に届いて現在にいたります。

このセールでオーダーして3か月ほど待っていた方は見かけたことはありましたが、最速でオーダーすれば逆にかなり早く完成する可能性も今回のようにありえるかもしれませんね。

 

また、シルバーワイヤーオプションは近日にも情報公開の予定らしいです。

 

実機の感想

実機が届いてフィット感は問題ありませんでした。KATANA・ENCOREも一発フィットでしたが今回も1発だったので安心です。

期待よりも不安の方が大きかった音質面ですが、かなり良いです。

感想は付属ケーブルにR8SSとなります。

 

確実に内部配線が効いてはいるのですが、極端に帯域バランスが変わるような音ではなくて、情報量・分解能・解像感がユニバーサルのKHANよりも優れています。付属ケーブルでも全体的に滑らかな音色になっていてシルバーワイヤーの効果が良くわかります。

今までのNobleのカスタムは付属ケーブルだとドライ目な音で、そこからリケーブルをして好みな音にするのが面白いのですが、今回はその必要を感じません。

最初からリケーブル済みのような完成度です

(これが後に続いていきます)

 

ユニバーサルのKHANは高域が別の空間から鳴っている感覚があり、ここで好みが大きく分かれているかと思います。

KHAN Cだと派手に拡散される感覚は少し落ちているかもしれません。

(ただしeイヤ・フジヤの試聴機よりは高域の存在感はあります)

KHAN Cでも天井感はなく高域は伸びやかですが、別個で鳴っている感覚は薄れて繋がりが良く感じます。

この違いはユニバーサルの方がステム部にステンレスを採用している事が影響しているかもしれません。

シルバーワイヤーのお陰でこの高域なのか、通常配線だともっと落ち着いた鳴り方になるのかはKHAN Cオーナーの方に教えていただきたいですね。

 

特筆するべきなのは低域の質感・表現力がかなり良くなっています。シルバーワイヤーなのでブーミーになることをはないだろうけど、これ以上低域が痩せてしまったら最悪だな...と思っていましたが、逆に増加しました。

増えてはいますがボーカルが前なら低域はしっかりと後ろで鳴ってくれています。低域の定位は変わりませんでしたね。

 

eイヤ>フジヤ>当機>ユニバーサルといった感じで低域の量感は多いと思います。

フジヤだとちょっと多い...。ユニバーサルはバランス化して低域を増しても、あと少し出てくれれば嬉しいな、と思っていたので嬉しすぎる誤算です。

ユニバーサルのKHANでは出来なかったうねる低域や沈み込む低域も鳴らせます

いままではバランス端子でリケーブルして、量感こそないものの質感だけは鳴らせている、という感じでしたがKHAN Cは最初から鳴らせています。

低域の量感こそ増えているものの、ユニバーサルではリケーブルをしないと改善が取れなかった低域のフォーカスの甘さや表現の広さを得れたことが最も大きいです。

高域と低域の質感が変わった結果、全体の帯域バランスの悪さが整ってハイブリッド感は薄れたといえます。

 

また他のイヤホンと比べて圧迫感がある音場ではなく、少し前目で展開される音場はKHAN Cでも健在です。ここはユニバーサルKHANとほぼ同等、フィット感が優れている分わずかにKHAN Cの方が優秀でしょうか。

優れた情報量を持ちながらも少し前目で扇状に奥・横に広い音場が展開されます。

多ドラで見かける、いきなり特定の音が虚を突いたようにドン!と飛び出してくることはなく、常にこの音場を維持しているので 聴き疲れる感覚は少ないです。これはベントも影響していると思います。

CIEMだけという条件ですと、この奥行き感を鳴らせるのはAnle V14しか思い浮かびません。

 

リケーブルの必要性

先ほど書きましたが、このKHAN Cは最初からリケーブルしたような音がなります。なので味付け感あるケーブルや、大幅に情報量が向上するようなケーブルは必要ないかと思います。また恐らくですがアンバランスの方がユニバーサルKHANとは違って良さそうです。

10万円overのケーブルを使っても音色の変化こそあれど、情報量に関しては差がないです。相当シルバーワイヤーが仕事をしているんですかね?

 

また4.4mmよりもアンバランスの方が低域の質感が好みそうです。

バランスだと少しダボついてキレが悪くなる印象です。アンバランスでも量感・質感ともに十分なので、わざわざバランス化する必要性がなくなってしまいました。

(同じケーブルでプラグ違いを聴いたわけではないので強くは言えません)

付属ケーブルか、そこからもう少し向上を狙いたいユーザー向けの3.5mmケーブルでの運用を考えています。

エージングでまたこの感想は変わるかもしれませんが...)

 

最後に

今回オーダーしたKHAN Cにはかなり満足です。

最近ヘッドホンオーディオに力を入れて、イヤホンとの音質差が気になっていた所ですが、ヘッドホンにも劣らない音質のイヤホンが、思いがけないタイミングで手に入れられて良かったと思います。

 

ヘッドホンと同じように低域はDD、ただシングルでDD1基のみだと情報量にかける。

ただハイブリッドになるとやっぱりチグハグ感は拭えないよなぁ…と思っていたタイミングだったので、繋がりがよく、開放感がある音場はヘッドホンに近くて、この音質にはラッキーだったというしかありません。

 

別物のようなイヤホンになってしまうことを恐れていましたが、元の良さを維持しながらも音質の向上が得られて安心しました。

他のNobleのCIEMと比べてデザインの選べる幅は狭いですが、音質的なオススメ度でしたらKHAN Cをイチオシしたいですね。

通常配線のKHAN CだとユニバーサルKHANのようにジャンル毎に不得意が存在するのかは分かりませんが、シルバーワイヤーのKHAN Cだとジャンルは選ばない印象があります。

近い価格帯でオーディオを楽しまれている方にも驚きの音質だと思います。

シルバーワイヤーが選べるようでしたらこの感想を思い出して貰えると嬉しいですね。