Chord mojo2のレビュー

今回はChord社のMojo2をレビューしていきたいと思います。

 

f:id:Omati:20220312094640j:plain

1年半に同じくChord社のQutestを購入してから、その音質に感動して使いづけていているのですが、そのメーカーのポータブル製品の新作ということで発売日に予約購入した次第です。

Qutestの音質には感動したのですが、実は4年ほど前に買った初代Mojoはあまり好みの音質ではなく、手放した過去があります。今回のMojo2はそんな私でも好みと思えるサウンドでした。

 

中身は外箱・極短USBケーブル・簡易説明書類です。

f:id:Omati:20220312094352j:plain


日本語の記載はないので、代理店が公開している日本語マニュアルで操作方法を確認する必要があります。

何も説明がないとまず分らないことが間違いない操作感かと思いますが、発売日に色々と触って、その日だけでもすぐに覚えることができました。

分かればとても簡単な操作なのでそこは安心して問題ないと思います。

 

音質

レビュー環境はM3X→Mojo2となります。

重ねても約350gなので最近の重量級DAPと比べても軽いほうかと思います。

f:id:Omati:20220312112552j:plain

レビューイヤホンは特に良いと感じたKatana CとAtlasです。

 

まずは8万円という価格を考えると、控えめに言ってもかなり優れた機器かと思います。

 

全体的な感想ですと全域の情報量が豊富で・透明感があり・柔らかい傾向の音というのでしょうか。

Chordの音はアップサンプリングの音、かつ既存チップを用いた音ではないので一般的なチップの製品とは違った音なのですが、音色的な好みは置いておいて基礎スペック的な所で、他製品よりも値段を考えると上回っていると思いました。

 

まず情報量が全域充実していて、しっかりと音が埋もれずに浮かんでくれている感覚を覚えます。

そりゃあアップサンプリングしてるんだから情報量が上がっているように感じるだけで、音痩せ・力強さの薄れと副作用があるのでは?と思うのですがChord...というよりもQutest・Mojo2にはそれがありません。

初代Mojoですとアップサンプリングで滑らかさはあるのですが、音が丸く、アナログ感が強めで1音ごとがあまり分解されない個性的な音に違和感を感じて手放してしまったのですが、Mojoにはそれがなく安心しました。

初代Mojoよりも丸くなくサラッとしていて、透明的で階調感に優れた非常に滑らな音です。

最初に柔らかい音であると書いたので、低域はふくよかでスピード感は控えめかと思われますが、Mojo2の音は違います。

1音ごとの情報量が非常に充実している為、他の製品だと滑らかさに欠けていた音が綺麗に繋がったように感じます。

極端な話、いままで滑らかな棒グラフのようだった音が完全な曲線になったとでもいうべきでしょうか。

曲線的な音のボーカルや弦楽器あたりですと分かりやすく、ボーカルは意識せずとも歌詞が頭の中に浮かんできて、弦楽器ですと凄ぶる滑らかな分、リアルな音に近いと感じます。

明らかに他社製品とは違う質感なので、この辺りを聴けば「これがChordの音か…」理解していただけるかと思います。

瞬発的な低域や高域(ドラム・ピアノ・ハイハット)なども、いままではある程度「点」や「線」と感じていた音が、更に粒たち良く聴こえるかと思われます。

これらの点で透明的ですが冷たさはなく、滑らかさに優れて、リアル的な音であるから柔らかさがあると感じました。

 

Qutestでも感じましたが、透明的ですが硬水的ではなく、白ブドウジュースのような瑞々しさがあり、少し甘いような感覚を覚えました。

(他の方の表現ですとワイン的などがありますが、僕はビール舌なので白ブドウジュースです...)

 

またスピード感はかなり良いです。

高出力なだけあって低域は結構パワフルなのですが、全体的なサウンドの構成として、どの音も時間軸的な感覚としてのブレがなく、立ち上がるべき所・立ち下がるべき所が明確で、一体感をもって曲が進行しているように感じられます。

 

またMojo2にはHugo2に搭載されているクロスフェード機能があります。手元に来るまでは全く意識すらもせずに期待していなかったのが、これが相当に良いです。

普段なら耳横に張り付き気味だった音のみをわずかに前方へ動かしてくれます。

こういったギミックはあまり好みではないのですが、この機能は常時ONで運用しています。

 

据え置きヘッドホンオーディオでの話なのですが、だんだんと環境を強化していくにあたって、いままで横でなっていた音が前方になっていく事に良さを感じていっていました。

据え置きで使っているQutestと近い音色ながら、似たような音場を鳴らせるクロスフェード機能はお気に入りです。

自分の価値観ですと、耳横で鳴る事よりも、前方でならしてくれる製品の方が優れていると思っているので、試聴する際にはぜひともこの機能は試していただきたいです。

 

 

雑記

この値段・サイズでこのサウンド、かつほぼ完全にChordの音に犯されしまった私からすれば弱点がないように思えますが、人によって明らかに既存DACの音とは違うので、そこに違和感を感じる可能性はあります。

ガリガリカリカリとした音ではないので刺激的な音を求める人には向いてないかと思います。デジタル感がある音が苦手な人はむしろChordの音を聴いてみるべきです。

 

また手持ちのヘッドホンですとUtopiaは据え置きと比べると流石に劣ると思いました。

f:id:Omati:20220312114020j:plain

中域の立体感は良い物があるのですが、低域の表現力がだいぶ劣ります。

パワーはあるので量感はあるのですが、いつもならば分解しているはずの音が、だまになっているように感じます。

そりゃあ据え置きと比べれば劣るのは当たり前だろう、と思われるかもしれませんが、量感があるために意識に強く入ってきてしまい、もどかしさを感じたので書きました。

テストで聴いただけなのでUtopiaMojo2で使う予定はないのですが、低域の表現力が優れているヘッドホンですと物足りなさを感じるかもしれません。

 

手持ちイヤホンですとAtlasは低域はかなり量感あるタイプですが、以前持っていたPaw Gold Touchよりもうまく描き分けれていると思います。

上流の特徴を良くも悪くもばっちりと反映するハイエンドヘッドホンで低域が多めだとこうなる...というだけで、イヤホンですとこのようなことはないかと思います

(上流の相性問題はUtopiaはそれがかなり顕著なので...)

 

反対にADX5000は良い音を鳴らしてくれました。ADX5000の透明的で澄んでいる、かつ一切歪まない凛とした音とMojo2の透明感と色彩感はうまくマッチしていると思います。

f:id:Omati:20220312114215j:plain

 

 

またHugo2と音が似ているという感想をよく見ますが、僕のQutestからも感じますが、確かに似ているかと思います。ただHugo2に近い音をこのサイズ感に落とし込んだ事に一番意味があると思っています。

Qutestの音に感動しただけに、Hugo2をポータブルしようかと頭によぎったことはありますが

Qutestを持っているのにHugo2をわざわざ持つ意味(だったらQutestはいらないでは?)

・このサイズ感を持ち運ぶのは難しい

ということで断念しました。

音質の絶対的な良さならHugo2かもしれませんが、ポータブルするのならMojo2の方が僕には良い選択です。

サイズが小さいことに本当に魅力を感じているだけに、Hugo2との値段差があまりなくてもMojo2を選ぶと思います。

それにもかかわらず実際の価格は8万円です。

まとめ

Mojo2は購入してよかったと思います。

据え置きの音質が良くなるにつれて、ポータブル製品は重量級を運用しないと追いつくことは難しいのか...と試聴する度に思い、持ち運べる・買える中で一番良いと思えるDAPPaw Gold Touchを中古で買って運用していましたが、Mojo2を買って大分差を感じてしまい売却してしまいました。

値段差で考えれば40万円ほどですが、ここで好みが分かれるのがオーディオの面白い所ですよね。

そんな中、最近試聴したHugo TT2+MScalerの音が忘れられません。

両方はまず値段的に絶対に買えないですね...

MScalerだけならなんとか買えないかなぁと考えたりしていますが、とんでもなく安いセール品が流れてくる事を祈るだけで終わりそうです。