Unique Melody MESTのレビュー

昨年の発売日翌日に購入してから愛用しているMESTについてレビューしていきたいと思います。

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内部構成が奇抜で話題となったイヤホンですね。

中身は

LOWにDD1基

Mid/HighにそれぞれBAを2基

Super Highに静電型を2基

そこへ三種類のドライバーをまとめあがる役割として骨伝導を1基搭載している8ドライバーのイヤホンとなります。

この骨伝導ドライバーは「空気振動」と「骨振動」の両方を兼ね備えているようです。

 

このメーカーはセミオープンBA(MASON2)や一本のケーブルで2種の導体を聴き替えることができるイヤホン(V3シリーズ)などがあり、名前の通り「Unique」なイヤホンが多いメーカーですが、まさかの4種類のドライバーを積んだイヤホンには驚かされました。

DD+BA+静電の3種類のイヤホンはある程度ありますが、4種類のドライバーを積んだイヤホンはこれが初ではないでしょうか?

音質について

 

[低域]

 DDを積んでいる割には量感はかなり控えめで、乾いていて沈み込むような質感ではないです。

この質感を鳴らすためにDDを積んでいるという感じですね、一般的なハイブリット型のように低域を量感多めに鳴らすのではなく、BAには出せない「硬い質感」を出すためにDDを積んでいると感じました。

私は同社のMaverick2を持っていまして、それもDD(+BA)が低域を担当している割には量感は少なめですが、MESTの方が気持ち少なく乾いて聞こえます。

 

量感控えなBA型ですと、量感が少ないにも関わらずBAらしい丸めな質感のみが際立って「ポンポン」とした音のみが独り歩きしているように感じてしまい、私は好きではないのですがMESTの場合ですと、硬く余韻がなくリズム帯のみを支えている感覚なので不満はないです。

低域をもっと多めにしてほしかったという声を少なからず見かけましたが、後で書きます高域の項にも繋がりますが、個人的に低域はこれで良かったと思っています。

 

この乾いた質感からドラムのような音はキレが良く得意と感じますがEDMで鳴るような低い低域やうねる低域は得意とは思えません

沈まず乾いているので、このようなジャンルですと低域に酔いしれることは難しく、BGM的な聴き方になってしまうかもしれません。

低域の量感に優れたイヤホンの後ですと拍子抜けしてしまうほどかと思いますが、低域の量感を求めるジャンルや、単純に低域を聴きたい気分の時は別のイヤホンで聴いたほうが楽しめるかと思います。

 

[中域]

全体的に分厚さはなく、ボーカルにはそこまで艶めかしさはありません。スッとしていて微クールといった所でしょうか?

距離感は少し近めで解像感は十分です。男性よりも女性ボーカルの方が好みな音を出してくれますね。

 

また骨伝導の効果なのか音が1層厚く聴こえるように思える時があります。 

前述した通りに中域に分厚さはないのですが、ここである程度の分厚さを出すことで淡々としすぎた安っぽさを感じなく良いと思います。

ギターやウッドベースなどで、このような感覚を得られることがありました。

 

 

またこれも骨伝導の効果だと思うのですがボーカルに解放感があって面白いです。しっかりとセンターに定位しているのですが、ほかのBA機のようにカッチリとはまっている感覚がないと思います。

ボーカルの音色は微クール目なのですが、音像がフワッとしているというのでしょうか...言葉にするのは難しいですがここも気に入っている所です。

 

また骨伝導が極端に効いているような感覚がありません。これはユニバーサル版でMESTが本領発揮していないからなのか、それともこれが狙ったチューニングなのか、真意はわかりませんがこれ位がちょうどよいと思っています。

試聴前は骨伝導が効きすぎてヘンテコな音だったらいやだなぁと思っていたのでこれぐらいのメリハリで安心した記憶があります。

私の耳ではユニバーサル版でも満足のいくフィット感が得られていると思っているのですが、カスタム版を聴いてモヤモヤを晴らしたいものです。

 

[高域]

静電型らしく伸びやかで清涼感・明瞭感に優れていてます。

低域の量感が少ないことと骨伝導が助長して解放感がかなりよく感じます

それもあって定位も高く感じますね。

質感は極端に言うと無機質ではありますが、この清涼感を求めてMESTに辿り着いたので気に入ってます。

他のドライバーでこれを求めた結果、高域やボーカルが刺さりまくって聴けたものではないモデルはありますが、静電を積んだMESTでは余裕を感じます。

これよりも静電型で高域の主張が控えめ・激しめな物はありますが、私の場合ですと静電型という括りの中でしたらMESTは丁度良く感じますね。

 

ただし一般的なイヤホンよりは明らかに派手な高域な為、高域に派手さを求めていない人にはあまりお勧めできません。

[他の雑感]

 このイヤホンですと私はポップス的な録音をされた曲を聴くことが多いです。

アニソン系・Jpop・ロック系が良い感じです。

元から音圧高めに作られている曲に対しても元のチューニングと、2つのベント穴の影響からか聴き疲れることが少なく相性が良いですね。

クラシック・ジャズ系でもある程度の良さは感じますが、この辺りは手持ちのNOBLE機に任せているのであまり聴くことはなくなってきました。

 

また低域はリケーブルをしてもそこまで量感は変わりません。多少は変わりますがここをリケーブルしてグッと上げれば好みのイヤホンになるかも?と思っている方はあまり期待しない方が良いかもしれません。ここもMaverick2と特性は似ていますね。

 

また骨伝導を味わうためにもイヤーピースの種類は限られます。

条件は

・シェルが耳に接せれるために傘は短め

・イヤホンにステム返しがないので軸が抜けにくい物

となります。

私が試した中ですと、純正イヤーピース、SednaのTWS系、Symbioなどでしょうか?

TWS系のイヤーピースは傘が短いので、MESTでは良い効果が見込めるかもしれませんね。

(ただし軸が抜けにくいことが重要なのでSedna系しか見つかっていない現状です)

またスパイラルドッド系ですと装着した後にイヤーピースが耳に残ってしまうので、このような材質のイヤーピースは向いていないかと思います。

 

また骨伝導の効果を目くじら立てて聴くのはお勧めしません。

Maverick2の低域で「DDとBAの境目はどこだ?」と集中して聴くようなもので、かなり分かりずらいと思います笑

(このイヤホンを持っている人なら多分わかると思います笑)

MEST骨伝導もあくまで最後の仕上げに骨伝導、といった感じなので、ここを解析するように聴くよりは全体のチューニングを味わったほうが良さそうです。

 

[最後に]

高域が好きな方や、カナル型で優れた解放感を味わいたい方、Unique Melodyのサウンドが好きな方にはぜひ聴いてみていただきたいイヤホンかと思います。

奇抜な構成でなんだこれは?と躊躇ってしまう方はいますかと思いますが、1度聴いてみて欲しいイヤホンです。

高価格にあるべき基本的な性能を抑えながらも他にはないユニークなサウンドが聴けてハマる可能性はあるかもしれません。

 

(カスタム版がきたら是非ともオーダーを検討したいのですが、いつになったら来るのでしょうか...)